成長ホルモンとダイエット
成長ホルモンには内臓脂肪を分解する作用がある
「体重は変わらないのに、以前はいていたパンツが入らなくなった」という人がいます。
若い頃には皮下に脂肪がつきやすいのに対し、年をとると内臓のまわりにつきやすくなります。内臓脂肪がつくと、ウエスト回りが大きくなるため、体重が同じでも若い頃の洋服を着ると胴回りが窮屈になります。こうしてくびれのない寸胴体型になってしまうのです。
おなかの脂肪をとるだけでなく、ひきしまった身体を目指したい方にうってつけの医薬品が「成長ホルモン」です。成長ホルモンは脳の下垂体から放出されるホルモンで、その名の通り、人の成長を促す役割を担っています。その分泌量は13~17歳にかけてピークに達し、その後は減少傾向に転じます。そして、25歳をすぎる頃になると急激に低下し、30歳以後は10年ごとに25%ずつ減っていきます。
容姿、体力、意欲の回復の研究が盛んなアメリカでは、以前から年をとるとお腹のまわりに脂肪がつきやすくなるのは成長ホルモンの分泌量と関係があるのではと考えられていました。そして様々な研究の結果、成長ホルモンには内臓脂肪を分解する作用があると判明しました。また同時に、糖質の代謝を促してエネルギー消費を高め、スタミナを増進させる作用や、筋肉でのタンパク質の合成を促進して筋肉を発達させる作用などがあることもわかりました。
また、成長ホルモンは皮下組織の水分保持に重要な役割を果たしているため、バストやヒップの下垂にも非常に効果的です。
メタボリック症候群:突き出たお腹に恐怖が潜む
女性は一般的に体型に対する意識が高く、ダイエットにも熱心なものですが、男性の多くは医者から「健康のためにやせなさい」と言われても実行に移せない方が多いようです。とくに中高年になると「少しくらい腹が出ていても仕方ない」と、なかなかダイエットに取り組まない方が増えてきます。しかし、『男の腹やせダイエット』でも詳しく解説しているように、お腹が出ているのは単に見た目の問題だけはありません。突き出たお腹の中に詰まっている「内臓脂肪」はさまざまな生活習慣病の原因となり、健康への悪影響が非常に大きいのです。
最近よく聞く「メタボリック症候群」(代謝症候群・メタボリックシンドローム)とは、内臓脂肪の蓄積によってさまざまな病気が同時多発的に起こる状態をいいます。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、個々に発症するというより、内臓脂肪型肥満が大きく影響して、いくつもの弊害を併発する場合が多いのです。
また、内臓脂肪が大量についている人は栄養過剰の状態にあるため、血液もドロドロしていて、血栓(血のかたまり)ができやすく、血管が詰まりやすい状態になっています。つまり、脳梗塞や心筋梗塞などを起こしやすいということです。近年、30代、40代の男性の心臓病による突然死が増えています。これは、いわゆる欧米型の食事のせいで脂肪の摂取量が増え、適正体重以上に太ってしまうことが要因のひとつと考えられています。
肥満は百害あって一利なし。突き出たお腹を「貫禄があるように見えるからいい」などといってごまかしていると、文字通り命取りになりかねません。体重管理は健康管理の基本であることを、しっかりと肝に銘じてください。